アイルランドの国営医療機関である保健サービス(Health Service Executive:HSE)は2021年5月14日、Conti ランサムウェアの実行により全国規模で医療ITシステムが停止した。診断・検査・予約などが広範囲に麻痺し、多くの病院が手作業での運用や診療の延期を強いられた。
PwC による独立調査報告書(2021年12月公表、157ページ)によれば、起点は2021年3月中旬に職員へ送られたフィッシングメールで、添付された悪性のExcelファイルを開いたことで端末が侵害された。攻撃者はその後約8週間かけて内部を横展開し、患者データなどを窃取したうえでランサムウェアを実行した。5月14日以前にも攻撃者の活動が複数回検知されていたが、インシデントとして調査されず、ランサムウェア実行を防ぐ機会が失われたと報告書は指摘している。国家レベルの医療システムが標的となった、世界的に著名な被害事例。