Heart of America Medical Center(ハート・オブ・アメリカ・メディカルセンター、HAMC)は、米ノースダコタ州ラグビーに本拠を置く非営利のクリティカルアクセス病院で、1905年から地域医療を担ってきた。救急医療・外科・リハビリテーション・専門看護・介護付き住宅サービスなどを提供し、ラグビー本院のほか、ダンサイス・マドックの2診療拠点を運営している。
HAMCは2025年6月12日頃、院内ネットワーク環境における不審な挙動を検知した。同院は直ちに環境の遮断・保全措置を講じ、外部のサイバーセキュリティ専門業者およびIT要員を起用して、事案の性質・範囲を特定するための包括的なフォレンジック調査に着手した。調査は2025年9月15日に終了し、システムから不正に持ち出されたファイルが特定された。同院は同日、公式ウェブサイト上に代替通知(substitute notice)を掲載した。
この間、ランサムウェアグループ「Embargo」が2025年8月6日、自ら運営するダークウェブ上のリークサイトにHAMCを掲載し、800GBのデータを窃取したと主張、その裏付けとしてスクリーンショットを公開した。Embargoは2024年4月頃に出現したRust製のランサムウェア・アズ・ア・サービス(RaaS)グループで、米国の医療・製造・ビジネスサービス分野を中心に二重恐喝を行い、これまでに約3,400万ドルの身代金を得たとされる。HAMC自身は本記録時点でEmbargoの名乗りを公式には確認していない。
HAMCはその後、第三者ベンダーを起用し、影響を受けた可能性のある個人と情報項目を特定するための大規模なデータレビューを実施、このプロセスは2026年5月12日に完了した。同院は続いてレビュー結果に基づく対象者の特定作業を行い、2026年6月9日に完了させた。2026年6月15日には通知支援ベンダーを起用し、郵送先住所の特定・確認作業などを経て、2026年7月9日に通知対象者リストを確定した。
HAMCは2026年8月5日、マサチューセッツ州消費者問題局(OCABR)へ本件を届け出るとともに、対象者への通知書簡の郵送を開始した。通知書簡によれば、影響を受けた可能性のある個人情報には社会保障番号・医療記録(診療情報)が含まれるが、具体的な項目は対象者ごとに異なるとされている。同院は対象者に対し、HaystackIDが提供する24か月間の無償シングルビューロー・クレジットモニタリング/クレジットレポート/クレジットスコアサービスと、詐欺被害対応支援を案内しており、申込期限は通知書簡の日付から90日以内としている。全米での対象人数は本記録時点で公表されていない。